2018年07月03日

父の口癖

         「平素の行い」と「命(めい)は食にあり」
父は明治34年生まれであり、大正13年に隣村から婿入りした。
自ら馬に乗って来たと言うから、よほどの馬好きであり、2度の戦争も騎兵隊に続したという。
と言うと、さぞや「きりりと」と思うのは早とちりと言うもの、隣村の米屋の三男だった。
この父が↓の才色兼備な方、Nさんとご縁があり、これも「早とちりは」禁物、句会の折に、Nさんが私に
「Sさん(私)はK(父)さんのお嬢さん(これも早とちりは禁物)ですってね!?」
「ええ、そうです」
「それじゃあ、Kさんの一番末のお嬢さんですか?」
「はい、一応」...一応と答えたのは、私はお嬢さんではないからだ。
「そうでしたか、お父さんとは老人会でよくご一緒するんですけど、1度でいいから、先にご挨拶をしたいと
思ってるんですけど、いつも先を越されちゃって...静かないいお父さんですね」
「そうでしょうか?父は米屋の三男ですのでご挨拶には馴れているのだと思いますよ」
「ああ、お米屋さんの...そうでしたか...ほんとにいい方で...」Nさんとは、地域の老人会(60代から)
でご一緒、馬に乗って「婿入り」したのも単なる馬好き、従がって、私も「お嬢さん」にはご縁もなく、Nさんの言葉の
綾であることがお解りいただけたと思う。「もの静か」は大幅に譲歩すれば、間違いではないかも知れない。

この父の口癖は、私達の誰かが、失敗や困難にぶっつかると「平素の行いが悪いからだ」と容赦なく言い、
食事の度に「命は食にあり、行儀よく、好き嫌いを言わず、残さず食べるように」が口癖だった。
私達姉兄は、支障をきたすことがあると「平素の行いが悪いからよっ!」と異口同音に言っては、今でもよく笑う。
そして「命は食にありって、おじいさんが良く言ってたけど、ほんとにそうだと思うよ」晩年の夫の口癖であった。
因みに父も、夫も長男もそろって丑年である。

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独り居の口とっときのさくらんぼ     ふきのとう
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2018年07月01日

そばポーロ―...そして父母のこと

               久しぶりに目にした...
洗剤が欲しくて、家から自転車で5分位の距離にある新設されたばかりの大型スーパーに出かけた。
洗剤めがけて一直線、帰りの通路で「そばポーロ―」が目に入った。

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「わ〜ッ、久しぶり!買って帰ろう」思わずつぶやいて買った「そばポーロ―」今は亡き俳句の先輩(年齢)の
大好物だ。私よりも後に入会されたのだが、先輩はこの地域では名家に育ち、知る人ぞとる才色兼備な女性であり
幼い頃から私も話を聞き、知らない訳では無かったが、俳句の師の幼馴染でもあり、入会を希望したようだ。
年上の先輩たちは口を揃えて
「気位が高いでしょうから...付き合いが難しいし...」と様々意見も出て難航した。
1番年下の私に師が言った。
「〇〇さんはどう思う?、遠慮くなく言っていいよ」すると年上の先輩の1人が
「〇〇さんは若いからあの人のこと、知らないんじゃないの?」と言った。
「ええ、お顔は存じています、知らないから、お会いしてみたいと率直に思いますし、俳句上のお付き合いなら別に...どうってことないと思いますが...」と、
私の意見を師も取り上げてくれて「お試入会」の運びとなった。「お試入会」とは、私が命名しそのあともに入会する
人によく言ったのだった。

「そばポーロ―」を持参して「お試入会」に彼女は現れて
「私の大好きなお菓子です!色々なお菓子を頂きますが最後にはこれに行き着くのです、初めてお持ちするには
とも思いましたけれど...」といい、手提げから取り出したのだった。
この後、正式に?入会され、82歳で鬼籍に入るまでお付き合いさせていただくこととなったのだった。

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そばポーロ―さんと夫と私の分のお茶を淹れて、ささやかな「お三時」をした。

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       夫の撮影写真

昭和62年10月10日、この会の10年の記念写真、今もお付き合いのある句友の許可を得た、最高齢は94歳、
心身ともに今も健やかであられる。

入会 7年、当時未だ結社には属せず、結社に属したのは平成10年からと記憶する。

 愛の羽    ふきのとう

縫い上げし子のワンピース日脚伸ぶ     待つといふこの静けさや今日の月

美濃紙に御顔かくし雛眠る           露けしや千草とふ名の橋わたる

花冷えや紙人形の衿あはす          おばしまの朱を極めけり秋しぐれ

母に触れ子にふれ穂絮流れけり       コスモスの種包みある飴の紙

おちこちに流れ雲あり西行忌         作業衣に愛の羽付け夫帰る

鮎の貌失はずして焼かれけり         追儺鬼転びて人を顕はにす

盧舎那仏のほほ豊かなり若葉雨       舟に乗る逢きものに冬かもめ

梅雨晴れて十二単の巫女に逢ふ       石仏は椿に埋もれ風岬

初つばめ翼田水に触れて来る         この辺り落人部落虎落笛

これよりは廟に入る道著莪の花        眠りより覚めし陶土や初轆轤

嗚呼!十年一日を免れず、良く続いたものだと今更ながら思う次第だ。
この時代、夫は既に陶器をつくることを趣味としていたことも記録となる句もある。

長くなるので「父母」のことは後に...続く








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2018年06月29日

トマト

                   シゲコちゃんのトマト
幼馴染の「シゲコちゃん」と、言っても私より4歳年下で、専業農家の跡取りであり
大工さんだったご主人も、今は農業に従事し、主に稲作とレタス、馬鈴薯の生産者だ。
今朝「〇〇ちゃん、今忙しい?、前の畑にいるから来れたら来て」と、電話があり、早速自転車で。

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「自分で欲しいだけ採ってくれる?」と言って鋏を手渡された。「ええっ!そんな〜ァ...」
「いいだよっ!採って採って!」「何だか申し訳ないわね〜ェ」と言いながら、胡瓜、茄子、ピーマン
トマトを採ると、
「なんだね〜ェ!遠慮しちゃって!もっといっぱい採りりな!」
「ありがとう、私1人だからこれだけ有れば充分なの...」
「...そうだっけねッ、旦那さんトマトが好きだったじゃん、冷蔵庫に入れときゃいいじゃん!ほらっ!」
シゲコちゃんの採ったものまで、ポリ袋に沢山入れてくれた。

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「おとうさん、シゲコちゃんのトマト、かき玉は後で作るわね」
トマト仕立てのかき玉汁は、温かくても冷たしくてもこの季節、夫の最も好んだ献立だった。

食卓に死海の塩やトマト切る     ふきのとう

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2018年06月27日

玉露

               静岡発...本山茶
藁科川上流に暮す知人が、御前崎に所要があったと言い、帰路に久しぶりに訪ねてくれた。
厳密には私の友人であるが、夫も旧知の間柄にあり、2年に3回の割でお目に掛かる間柄だ。
「ちょっと遅れ馳せだけど旦那さんに」といって自園自製のお茶を頂いた。
 
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「知ってるとは思うけど、是非、水出しで淹れて見て」と、言い残して帰られたから、昨夜、寝る前に
湯を沸かして置いた。
今朝、言われたように、ゆっくりゆっくり、湯冷ましを注いで7分、色も味も納得の玉露の冷茶だ。

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本来はもう少し小振りな茶碗に 少し淹れるのだが、茶葉も多めに、湯冷ましも多めに淹れたから
驚かれる向きも多いかと思うが...ワタクシ流儀にご勘弁いただきたい。
「牛渕の〇〇さんの玉露、昨日いただいたの、水出しにしてみました。それから秋海棠の初花です!」
と、語り掛けたら「羊羹はないの?」って、遺影が言ったから「ありますとも!」と言って私が食べた。
目覚めの玉露の水出し、何とも美味しい事!〇〇さんどうもありがとうございました。

秋海棠くぐりくる風桃色に      ふきのとう

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posted by ふきのとう at 10:11| Comment(8) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月24日

独り(1人)暮しの...公共料金

                   ガス、電気、水道料金
独り暮しになって10か月、そして1年の中間点、暮らしの中の公共料金どれほど支払っているか。
家計の主権は亡くなる日まで夫にあった。月々渡される家計費の使途は、主に食費、家庭の中の必需品、
衛生費、外食に掛かる費用であり、交際費などは別途であった。
いわゆる、公共料金の支払いも夫がしていてくれたから、その後、丸投げ状態にはうろたえたて、今日に至る。
夫の生家でも同様に、義兄がすべて賄っていたようだ。だからと言って、この件に関しての不満は私に無い。
給料、退職金も夫が言わないから、私も敢えて聞かずにいたから、夫が私を置いて黄泉に行ってしまうことなど
考えもしない、阿呆な女房だったと、今は思う。

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上からガス、電気、水道料金だ。
電気料金に於いては、昨年夫のためにエアコンを設置したため15A〜20Aに契約電力料を上げたが
点す電灯は1人も2人も変わらない。
この他に、電話代とパソコン使用量、電話回線込みで約4,000円+電気代、携帯電話料金は嫁が払ってくれる。
固定電話料金は、ほとんどの月が基本料金のみであり、水道料は基本料金内だが、自家水道を併用している
からだろ。従って電気料金の中に水道のモーターの稼働料金も含まれていて、台所と風呂は、LPガスを使用。
独り暮らしも2人暮らしも、公共料金は大幅には変わらないし、独りになったからと言って私自身の生活スタイル
に変化はない。

過日見舞ってくれた姪がベランダから、庭を見ながら言った言葉があまりに印象深く、思わず涙が出た。
「相変わらず好い風が入って...変わったことと言えば叔父さんが居ないことだけね...。」

      折あらば夫降りて来よ青田風      ふきのとう

posted by ふきのとう at 11:59| Comment(10) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月23日

紫蘇を揉む

                     ちりめん紫蘇6束

「叔母さん、お願いがあるんだけどね、今年も梅干し漬けてくれるかしら?」姪からの電話だ。
大井川を挟んで隣町に暮す姪だ。舅姑を看取り、2人の娘は家庭を持ち、今は夫と長男との3人暮らし、
兼業農家である。夫の通院時も、この姪が、時間さえあれば来てくれて、遠慮する私に「時間が有る時、
好きで来てるんだし、色々お世話になったし、こんなことで喜んでくれたら私も嬉しい」と言い、在宅療養に
なるまでの7か月間、病院への送迎をしてくれて、お蔭様で車に乗れない不自由さを微塵も感じなかったのだった。
姪の言う「世話」とは夫が子供に数学を少し教えたことと、私が愚痴話の相手になっただけのこと。
そんな姪の頼みごと、毎日が日曜日の私には何でもないこと、「店頭でいい梅を見つけたら買ってちょうだい、
私も気を付けて見て見るから」そんな返事をした翌日、息子の同級生のお母さんから珍しく電話があり、梅が
豊作で、貰い手が無くて困っているので、助けてくれないかと言うのだった。
女の子のお母さんで、家も少し離れていて、ふだんお目に掛かることは滅多になかったので躊躇した。
いろいろ当たってみたのだが、梅を漬ける人がいないと言い、私の事を想い出したと言われた。
学校田の(小学校)お米の収穫際があり、当時1年生は「おむすび」を作ることとなり、委員だった私が大量の
梅干しを持参した日のことを覚えていてくれたようだった。
広い裏庭には数えきれないほどの梅の木が植えてあり、どの木も撓に大粒の実を付けていた。
「私も独りになっちゃったのよ...」「そうですってね、どう、慣れました?」...「怖いのは無くなりましたけど
寂しさは未だ...」「そうでしょ、私も3年かかったわ...」...今は娘さんとその子供と暮らしていると言う。
出てきたお孫さんは祖父ににていて色白で、とても愛らしかった。今は亡き祖父(彼女の夫)は私より
1学年上だった。

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外に雨の気配ありけり紫蘇を揉む     ふきのとう



posted by ふきのとう at 07:33| Comment(8) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月21日

形見の風鈴

                   夕方晴れ...
高槻の家で初めて迎える夏に、今は亡き、花巻の兄が贈ってくれた「南部風鈴」五十余年を
経て、錆は泛いているものの、澄んだ音色はみちのくの空の色と、水の色を想い出させてくれる。
毎年夫の誕生日に軒に吊っていたのだが、今年は少し遅くなってしまった。

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風鈴の「舌」を少し明るいものに替えようかと思っている......。
高槻の家も農家の離れであったし、今の住まいも、「うるさい」と言われることは無いから、存分に
音色を楽しむことができるが、残念なことに、2人とも鬼籍に入ってしまった。
「父母や、兄姉たちに巡り会えただろうか.......」ふと想った。

風鈴や亡き父母のこと夫のこと      ふきのとう

posted by ふきのとう at 15:52| Comment(8) | 俳句 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする